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退職勧奨とは、使用者側から労働者側に強制を伴わない退職の働きかけを行うことで、例をあげると「肩たたき」や「希望退職の募集」などが該当します。
労働者側がこれに応じると、労働契約上の合意解約となり、「解雇」にはあたりません。通常、退職勧奨をするときは、賃金の何か月分かを補償したり、規定の退職金に加えて一定額を上積みするなど労働者側が勧奨に応じやすいような条件を提示して行うのが一般的です。
退職の勧奨を行うこと自体は、特に法律に違反する行為ではありません。しかし、勧奨に応じるかどうかは全く労働者の自由なので、使用者側は、この点を十分考慮して行わなければなりません。
勧奨を受け入れない労働者に対して、執拗な勧奨を繰り返し行うことや、労働条件の切り下げ、配置転換などを示唆して労働者を退職に追い込むようなことは、勧奨の域を超えた一種の強要となり、それ自体が違法な行為となります。会社に損害賠償責任が生じてくることも考えられますので、十分な配慮が必要です。
(民法:不法行為による損害賠償)
709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 |
労働者側も、勧奨である以上それは合意解約の単なる申込あるいは誘引にすぎないのだということを念頭にいれ、退職の意思がない場合は、はっきりと断ることが必要です。
また会社側の勧奨に対し、同意と取れるような言動を行ったり、合意文書に署名を行ったりすると後から撤回することが難しくなりますので、判断が難しい場合は、その場での回答を留保するなどするようにしましょう。
退職の勧奨が違法とされた代表的な判例には、次のものがあります。
(下関商業高校事件 S55.7.10)
Y1の行った勧奨は、多数回かつ長期にわたる執拗なものであり、許される限界を超えている。この事件の勧奨は、従来の取り扱いと異なり、年度を超えて行われ、またXが退職するまで続けると述べられており、勧奨が際限なく続くのではないかとの心理的圧迫をXらに加えたものであって許されない。
Xらが勧奨に応じないならば、組合の要求に応じないと述べたり、提出物を要求したり、配転をほのめかしたりしたことを考えると、Xらは勧奨によりその精神的自由を侵害され、また耐えうる限度を超えて名誉感情を傷つけられ、さらには家庭生活を乱されるなど、相当な精神的苦痛を受けたと容易に考えられる。
よってこの事件の退職の勧めは違法であり、YはXらが被った損害賠償の責任を負う。 |
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