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  派遣契約の中途解除と解雇

労働者派遣とは、「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。」と定義されています。(労働者派遣法2条1号)

このように、労働者派遣の場合は、雇用関係は派遣元と派遣労働者との間にあり、派遣労働者は、当該雇用関係の下に、派遣先の指揮命令を受けて仕事を行うという点がポイントです。

また、労働者派遣を行う事業には、常時雇用する労働者のみを派遣する「特定労働者派遣事業」と、それ以外の「一般労働者派遣事業」とがあります。(労働者派遣法2条4号・5号)

「特定労働者派遣事業」の場合は、常用労働者を派遣しているので、派遣契約が終了しても派遣元と派遣労働者との雇用関係は存続しますが、「一般労働者派遣事業」の場合は、派遣元に登録されている派遣希望者が、派遣契約が締結されたときに当該契約に基づいて派遣元と雇用契約を締結するもので、派遣契約が期間満了によって終了してしまえば、雇用関係も同時に終了するものです。

派遣契約の中途解除

1.派遣先は専ら自らに起因する事由により、契約期間が満了する前に解除を行おうとする場合には、事前に派遣元に申し入れ合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって解除の申入れを行なければなりません。【派遣先が講ずべき措置に関する指針第2 6(2)】

2.派遣先は、自らの責に帰すべき事由により契約期間が満了する前に解除をする場合には、解除をしようとする日の30日以上前に予告をするか、30日以上の賃金相当の損害賠償を支払わなければなりません。また予告の日数が30日に満たない場合は、満たない日数分以上の賃金相当の損害賠償を支払わなければなりません。【先指針第2 6(4)】

3.派遣先は、契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって契約の解除が行われた場合には、当該派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図らなければなりません。【先指針第2 6(3)】

4.派遣先は、契約期間が満了する前に派遣契約の解除を行う場合であって、派遣元から請求があったときは、派遣契約の解除を行う理由を当該派遣元に対し明らかにしなければなりません。【先指針第2 6(5)】

労働者派遣法では派遣契約を締結する際には、個別契約書の締結が義務付けられており、派遣契約の「解除の場合の措置」について記載しなければならないことになっています。また、派遣元が派遣労働者に対して交付することとなっている労働条件明示書についても同様です。

派遣労働者を解雇するときのルール

派遣元は、派遣先の事情で契約期間が満了する前に派遣契約が解除された場合であっても、当然に派遣労働者を解雇できません。登録型の一般労働者派遣の場合であっても残りの派遣期間については雇用の義務があります。

1.派遣元は、派遣先と連携して、派遣先からその関連会社での就業のあっせんを受ける等により、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図らなければなりません。
【派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針第2 2(2)】

なお、就業先を探したものの、見つからず仕事を与えることができない期間については、労働基準法26条に規定されている平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければなりません。

2.派遣契約の解除に伴い、派遣元が当該派遣に係る派遣労働者を解雇しようとする場合には、労働基準法等に基づく責任を果たさなければなりません。【元指針第2 2(2)】

すなわち、解雇の理由が経営上の理由であるときには、以下の整理解雇の四要件(四要素)を総合的に考慮した上で、行わなければなりません。

@人員削減を行う経営上の必要性があること。
A解雇を回避する努力をしたこと。
B被解雇者の選定基準に妥当性があること。
C十分な事情説明や協議を行なったこと。
整理解雇の四要件

派遣契約が何度か更新された後契約期間の満了をもって派遣契約が終了したと
きに、有期労働契約の雇止めによる解雇権濫用法理の類推適用はあるのか?

登録型一般労働者派遣における有期労働契約の雇止めの有効性については、長期間継続して派遣することは常用代替防止の観点から本来労働者派遣法の予定するところではなく、またその有期労働契約はもともと派遣先と派遣元との派遣契約を前提として存在するものであるから、仮に派遣労働者と派遣元との有期労働契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在しているか、あるいは派遣労働者の雇用継続の期待になお合理性を認める余地があるとしても、当該有期労働契約の前提となっている派遣契約が期間満了によって終了したという事情は、当該有期労働契約が終了となってもやむを得ないといえる合理的な理由にあたるというほかないとして雇止めが有効とされた判例があります。(伊予銀行・いよぎんスタッフサービス事件 H15.5.22/マイスタッフ(一橋出版)事件 H17.7.25)

なお、労働者派遣法においては、一定期間派遣労働者を受け入れると、派遣労働者に対して以下の雇用契約の申し込み義務が発生することになっています。

1.政令26業務など派遣受け入れ期間に制限がない業務の場合

派遣先の同一の業務に、同一の派遣労働者を3年を超えて受け入れており、3年を経過した日以後、派遣先がその業務に外部から労働者を雇い入れようとする場合は、派遣先は当該同一の派遣労働者に対して、雇用契約の申し込みを行わなければなりません。(労働者派遣法40条の5)なお、その派遣労働者が派遣先の雇用契約の申し込みを拒否した場合には、引き続き派遣労働者として就労を続けることは可能です。

2.製造業、一般事務、軽作業など派遣受け入れ期間の制限がある業務
(自由化業務)の場合

物の製造や、一般事務、軽作業などの自由化業務の場合、派遣先企業は、派遣元や派遣労働者を変えたとしても、同一の場所における同一の業務に最長3年を超えて継続して派遣労働者を受け入れることはできないことになっています。

@派遣先が派遣受け入れ期間の抵触日以降も派遣労働者を使用しようとする場合で、派遣元から「派遣停止の通知」を受けた派遣労働者であって、派遣先に雇用されることを希望するものに対して、雇用契約の申し込みを行わなければなりません。(労働者派遣法40条の4)

A1年以上(最長3年まで)派遣先の同一の業務について、同一の派遣労働者を受け入れており、派遣受け入れが終了した日以後、当該業務に新たに労働者を雇い入れようとする場合で、以下に該当する場合、派遣先は当該派遣労働者を雇用する努力義務が生じます。(労働者派遣法40条の3)
(a)当該派遣労働者が、派遣先に雇用されて同一の業務に従事することを希望する旨を派
     遣先に申し出ている場合
(b)派遣の受け入れが終了した日以後7日以内に、派遣元との雇用関係が終了する場合

労働者派遣が可能な職種、受け入れ期間の制限等についての概要

1.労働者派遣が禁止されている業務
@港湾運送業務
A建設業務
B警備業務
C病院等における医療関係の業務(紹介予定派遣、産休等休業取得者の代替、へき地等
   の医師を除く)
D人事労務関係のうち、団体交渉または労働基準法に規定する協定の締結等のための
   労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務
E専門士業の業務(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、行
   政書士、公認会計士等)

2.政令26業務
(1号)ソフトウェア開発 (14号)建築物清掃
(2号)機械設計 (15号)建築設備運転、点検、整備
(3号)放送機器等操作 (16号)受付、案内、駐車場管理等
(4号)放送番組等製作 (17号)研究開発
(5号)事務用機器操作 (18号)事業の実施体制の企画、立案
(6号)通訳、翻訳、速記 (19号)書籍等の制作、編集
(7号)秘書 (20号)広告デザイン
(8号)ファイリング (21号)インテリアコーディネーター
(9号)調査 (22号)アナウンサー
(10号)財務処理 (23号)OAインストラクター
(11号)取引文書作成 (24号)テレマーケティングの営業
(12号)デモンストレーション (25号)セールスエンジニア、金融商品営業
(13号)添乗 (26号)放送番組等の大道具、小道具

3.派遣労働者の受け入れ期間の制限
派遣労働者の職種 受け入れ期間
@A〜D以外の業務(自由化業務) 原則1年(最長3年)(注)
A政令26業務 制限なし
B3年以内の有期プロジェクト業務 制限なし(3年以内)
C日数限定業務(派遣先労働者の1か月の所定労
   働日数の半分以下かつ10日以下)
制限なし
D産前産後・育児・介護休業を取得する労働者の
   業務
制限なし(休業取得者の職場復帰まで)
(注)派遣先が派遣労働者の受け入れについて過半数労働組合(労働者の過半数代表者)の意見を聴いた場合 3年間まで派遣が可能です。また、直前の派遣期間と次の派遣期間との間が3か月を超えていれば、同じ業務に再度派遣が可能です。(この3か月の期間をクーリング期間といいます。)


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